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おれの草履とおなじように、前脚も後脚も血に染めた相棒が、みじかく唸る。
すぐさきに、たった一人の生者が立っている。
二個小銃隊ことごとく、惨殺した張本人が・・・。
曇まで逃げ散ったのか、
https://www.fututrustee.comきれいなまでの夕陽が、この地獄を染め上げている。
大地とおなじ血の色に・・・。
シルエットが、やけに生々しい。は天を仰いでいる。
大量の血を吸い、肉と魂を喰らいつくした二本の刃。それらを、両脇にだらりと下げている。
慟哭が、耐えがたいほど耳に響く。
胃のなかに、もはやなにも残っていない。すっぱい唾液が、血で染まった足許に落ちてゆく。
えづきつつ、一歩踏みだそうとする。脳の運動野は、ちゃんと指令を送っているはず。それなのに、動かない。
すくんでしまっているのか?恐怖で、身動きができないと?
いいや、違う。そんなものではない。
躊躇・・・。
を、よせつけぬ?
自分で、自分の言葉に驚く。
頭を左右に振り、くだらぬ考えを追い払う。それから、自分のにカツを入れる。
刹那、相棒がまえにでようとする。
左の視界に、右前脚が上がるのが入る。「ちかづくな」
こちらを向いている。
夕陽を受け、真っ赤に染まっていてもなお、髷を落としてみじかくした髪も、
も、シャツも、ズボンも、軍靴も、すべてが真っ赤に染まっているのがわかる。
血で、真っ赤に染まっているのが。
返り血で・・・。
「これが、わたしだ」
俊春は、震えを帯びた声でつぶやく。
「のする、所業ではなかろう?」
刀が、掌よりすべり落ちる。
最初に握っていたのする、所業ではなかろう?」
刀が、掌よりすべり落ちる。 無意識のうちに、脚が動きだす。一歩、また一歩。
相棒も、それにあわせて進む。
「くるな、こないでくれ・・・」です。俊春殿・・・」
さらに一歩踏みだそうとしたとき、逃げようというのか、背を向けかける。
それをよんでいた。おれではなく、相棒が。
かれが背を向けるよりもはやく、駆けよる。そして、軍服のズボンの裾を噛む。
そのタイミングで、懐を脅かす位置まで駆け寄り、華奢な肩を掴む。
を。
たしかに、どこかでみた・・・。
思いだせない。を。
たしかに、どこかでみた・・・。
思いだせない。まではなれてしまう。
それは、物理的な距離以上につらいことである。
いや、いまは兎も角、かれをはなしてはならない。このままはなしてしまったら、かれの
いや、いまは兎も角、かれをはなしてはならない。このままはなしてしまったら、かれの
怯えた子どもの
俊春は、ちいさな子がいやいやするように、
最初に握っていた「俊春殿、あなたは、です」
これ以上、かれのです」
をみたくなくて、頭部を抱き寄せる。
抗わない。であることを、いいつづけるおれ。
相棒は、おれたちの足許でそれをみあげている。
そのもまた、いいようのえぬ哀しみに満ちている。
かれも、心のどこかで
これ以上、かれの
こちらに背を向け、の意味も大切さもわからぬ、ちいさな子ども・・・。
かれを連れ、一刻もはやく豊後橋にゆかねば。
井上のことが、気がかりである。
俊春をみつめつつ、思案する。
全身血まみれのまま、合流するわけにはゆかぬ・・・。
落ち着きを取り戻したかれは、地に積み重なった遺体のなかから、まだみるに耐えうる軍服をみつくろい、それに着替える。
血まみれのシャツを脱ぐと、体も血まみれである。
「ほんとに、怪我はないんですよね?」
幾度も訊ねてしまう。
あまりにも血まみれで、かれ自身の血なんじゃないかと錯覚してしまう。
無言で頷く俊春。 みるともなしにみていると、付着しまくっている返り血の下に、傷跡がみえる。
いや、上半身だけとはいえ、男の裸をみる趣味はない。が、それが気になりガン見してしまう。
一つや二つではない。しかも・・・。
銃創・・・?
と思えるものがうかがえる。
なぜなら、自分にもそれがあるから・・・。を、斬ったりよけたりキャッチしたりできるのに?
それ以前に、銃創があるという時点で、違和感を覚えずにはいられない。
おれの
銃から発射された
刀で突かれたものではない。あきらかに、